2010年10月号

路地裏風


10月の運動会が終わって、100数名の子供達が幼稚園中で遊ぶ姿を見るに付け、バイタリティーがついてきたな~と感じることがしばしばあります。何かをたまたま見つけて、思いつきで遊ぶというパターン。目的のために何かを見つけてきて設定をいそいそと始めて遊ぶというパターン。どちらも発想があるお子さんがいて…というところがポイントで、それを共有できるメンバーが必ず現れます。例えば園で数年使われている住宅の柱の切れ端は、ある日は暖炉になり、ある日は井戸の枠になり、ある日は流しそうめんの樋になり、ある日はトンネルになり、一本橋になるというように、イメージによってそのものらしく仕立てられていくのです。また仲間にはならないけれど「なんだなんだ!」と不思議がってのぞきにくるメンバーがいて、そしてある日、突然のように以前誰かがやっていたことを再現し始める年下の子供達が現れます。
階段の踊り場に突然出現したアップルグリーン色のソファー。私が使わないからと引っ張り出してきたものなのですが、ねらいどうりそこはもう居心地の良い遊び場と化しています(笑)。「えー、あのソファー座っていいんだ。急にあったからびっくりしちゃった。座っちゃダメって思ったよ。でもぴょんぴょん愉しかったよね~。」(3歳児)座らないけど跳ねていたっていうところが、最高におもしろい。
こんな子供達の姿を見ていると、一見ごちゃごちゃとしていて色々な素材がある場所の変な居心地の良さに気づかされるのです。昔の路地裏で遊ぶ子供達となんか似ている…そんな気がします。ただ課題もあるんです。夢中で遊んで、からすが鳴くからかーえろという時代ではないという現実。まだ遊び足りなくて、お帰りの会がなかなか始まれない。そう切り替えがゆっくりだし、なによりマイペースなんです。社会状況がこんなにめまぐるしい時代だからこそ、「自分が」が強くなってしまうのかな~。
園長  松本 晴子

そこに集まった仲間


あぶくたったをしました。メンバーは年少組3人と私。鬼を抜かせば小さな円しかできず、少々寂しい感じもしましたが、とりあえずやってみることに。2・3回やっていると「いーれーて」と仲間が増えました。「仲間が増えた!」と喜びつつまた繰り返し・・・近くに入りたそうに見ているDちゃん発見!「おいでおいで!一緒にやろう」こんな風に少しずつ仲間が増えていきました。
よく見ると年少組がほとんど。クラスもばらばらです。歌いながらやりとりして、逃げたり追いかけたり…驚くことに年少組だってもう堂々と鬼ごっこができているのです。いつの間にこんなに自然に遊べるようになったのでしょうか。同じクラスでなくても、手をつなげばあぶくたったの仲間になる。そういう感覚や気持ちは、時間をかけて育まれるもの。
Aちゃんは他の遊びに誘っても首を振る事も多いのに、鬼になると立派に一人でやりとりをします。鬼をやりたいB君、なかなかなれないけれど、何とか次へと期待をつなげ諦めずに逃げる役をやっています。柔らかい表情で楽しんでいるC君は、いつからこんなにもすんなりと周りの遊びに入れるようになつたのでしょうか・・・そして、最後には年長組までもが仲間に加わり、もっと大きな円になりました。年少組が楽しむ姿に年長者も心惹かれたのでしょう。いつも年上の子供達から遊びが降りてくる訳ではないのですね。こんな関わりは本当に魅力的です。
そして、一方では、園庭をビュンビュンと駆け回る勢いのある氷鬼も人気で、たくさんの男の子達が群がっています。どちらを選んでもいいのです。その場その場で、いろんな友達と触れ合い、小さなやりとりを重ねていくのです。園庭に生まれたこの二つの鬼遊びに、子供達の成長を垣間見た午後でした。
小林悠子

つくしっこクラブ
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