2003年2月号

感謝して


 3月になって、子供達の成長を身近に感じます。保育者を遊びの中に必要としなくても、遊んでいける事は、とてもすごいことなのです。でも、友達と遊べることにあまり意味を感じない大人から見れば、ただ遊んでばかりでね…と、取るに足らないもので終わってしまいます。人と関わりを持っていく力は、それも、前向きに友達になっていく力は、現代においては、弱まっている能力のように思いませんか。大人だって自分から友人を作っていくことは、勇気がいりますものね。一方、テレビのキャラクターやゲームソフトの主人公を扱うように、人間の相手も自分の思い通りに動いてほしいという欲求が、今はあるようにも思います。そういう欲求が強い子供が、ゲーム世界(ひとりよがり)の方に安楽を見いだすか、喧嘩しながらも、時としてイメージを共有して遊べた楽しさの方に魅力を感じるか、幼稚園の中身が問われるところです。
 そんな中、あるクラスでは、ひなまつり会の劇の練習中、ダンボールで作った小道具をまたげないでいるKちゃんに、何気なく手を差し出して支えてくれた男の子がいました。また、Y君を怖がっていた3歳児のMちゃんが、昼食後、小枝や枯れ葉でたき火をまねして作っているY君に、葉っぱや枝を自分から拾ってきては渡していて、驚かされたこともありました。少し身近なクラスメートにになっていたのかもしれない!!という思いは、心の中を光りであたためてくれました。
 では自分はどうだったかな?という所に立ったとき、子供の思いを置き去りに(本当にどこかに置いてきてしまうわけではないのですが…)して、給食を食べさせようとしたり、盛り上がっている遊びを中断させて片付けを強要したり。それでも、先生の言うことだから、頑張って従ってしまう子供達に、安住してしまっている自分に気がついて、落ち込んでしまいました。
 来年度は、子供達にもっと寄り添えるかな…。

あやとり


2月に入り、あやとりが流行っています。女の子だけではなく、男の子も夢中で、毛糸を手に「先生、2人あやとりをしよう」と誘いかけてきます。女の子の中には、「ゴム作れるよ、菊の花だって出来るんだから」と自信満々な言葉。「先生、ぱったんぼうき作れる? 亀は? 1人あやとりは出来る?」と矢継ぎ早に聞かれ、「うん」と即答出来なかった私。早速、家に帰ってから、あやとりの本を見ながら格闘し、練習したのですが、なかなか難しく、覚えられない自分に腹をたてていました。そんな私に、新しい風を吹き込んでくれたのは、年長児のR君。お弁当の食休みの時間に、皆と一緒にあやとりを始め、「先生、出来たよ」と見せに来てくれました。あやとりの紐を親指と人差し指で広げ「ほら、四角!」と満面の笑顔。「………!?」。他の保育者には、同じパターンで「ほら、テレビ」と。最初は「そんなのおかしいよ」と言っていた友達もR君の楽しそうな姿を見て友達も、「これは、おたまじゃくし」「これは、くもの巣」と作り始めました。決められたあやとりも楽しいけれど、「これは、なーんだ?」と当てっこしていく創作あやとりも、おもしろくて、食休み後は、日差しがポカポカのテラスにて盛り上がりました。その後、R君も私も無事にほうきが出来るようになりました。

つくしっこクラブ
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