2009年10月号

天の恵み・地に平和


「今日は焼き芋をする!」という曇天の朝、4歳児の男児10名あまりがスコップを持って穴掘りを始めていました。そこはたき火をするために保育者が掘りあげたクレーター状の穴の脇でした。早速庭の形状に刺激を受けたようです。2カ所、3カ所と穴の脇に土山ができていきます。その時です。雨雲がいたずらをするかのように、にわか雨が降ってきました。初めはぱらぱら。これくらいは気にしません。穴掘りは続いていました。一回やんでその後ザーっと大粒の雨が…。薪の上にはシートを広げてあるので、私はテラスで雨宿り。さてあの子達は?…。私はあえて「雨だからお部屋に入りましょう。」という声かけはしませんでした。どうするのか眺めていたのです。雨粒が大きくなった時には、さすがに森の小屋やテラスの下に散っていき、庭には子供の姿が見えなくなりました。さすが、避難はできるんだ(嬉)。ところがしばらくしたら一人飛び出し二人飛び出ししてきて、また穴を掘り、息を合わせたようにまた避難していく、こんなことが何度も繰り返されていきました。まるで波が引くと波打ち際に寄っていき、押し寄せてくると逃げていく砂浜の子供の姿のようなリズムです。そのうちに雨は小やみになり、子供達は何事もなかったかのようにまた作業を続け始めました。私が近づいていったその時、雲間が空き、青空がのぞきました。「あ、空が見える!」という私の声に、「あー、碧いね。」「空だ!」と、上を見上げる時が与えられました。
私はこの日この時の感動を何物にも代え難いものだと強く感じています。もしあの時大人の価値観でお部屋に入れさせてしまったならば、友と息を合わせつつ、この自然とまみえる体験は無かったのです。幼稚園とはこういうことが許される場であってほしいですね。
そうそうこの日の焼き芋は最高においしかったことを、付け加えておきます(笑)。
園長  松本 晴子

それでもドッチボール


秋晴れの気持ちよいある朝、男の子が「ボール遊びしよう!」とやってきました。友達も加わって4人のドッチボールが始まりそう!。A君は足で地面にドッチボール用のラインを書きました。長方形の真ん中に線を引いて…出来たのは2メートルくらいのコート。 4人の中からガイヤが出れば中は2人、しかもコートはとても小さいし… 私は心の中で気にしていたのですが、「じゃあ、始めよう!」と、A君は早速ボールを投げ始めました。自分で書いたコートを気にすることなく、色々な場所から投げています。何だか不思議!?でも、誰も何も気にしていないので、私も右へならって・・・
チームに分かれる事は知っているようで何となく2対2に分かれました。、投げたり転がしたり、ドッチボールとして相手を狙うというよりは相手に渡そうと投げる感じ。けれど、当てられた!と自分が自覚した時には、反対チームに混ざって投げ初めます。それも、少しすると誰かが勝手にチーム移動をするので、大体いつも2対2のまま。
私はこの個々人が思うルールは微妙に違うけれど、4人の間に流れているルールがあるドッチボールが楽しくなってきました。ドッチボールには皆さんも知っているようなルールがあり、それがあるからこそ面白い訳ですが、それだけでもないのです。以前、経験したイメージからコートを思い出して作ってみた、でも、まだ必要性をあまり感じないからコートは使っていないのでしょう。ルールをしっかりと覚える前の段階、またメンバーによっては、こんな遊び方が自然なのですね。ルールが曖昧な分自分のペースでできるので、年齢や遊びの理解が違うメンバーでも一人ひとりが楽しんで出来た事が何よりでした。
ともすると、ルールを教えようとして遊び方を固定してしまいがちですが、ボール遊びを楽しむとはこういう事なのかとふと考えさせられたドッチボールでした。
小林悠子

つくしっこクラブ
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